美しい海と山に囲まれた能登半島最先端、珠洲市。僕は、この地に生まれ育ちました。

 

 高校を卒業した僕は、小さなカバンに夢と希望をぎっしりと詰め込んで大阪に出ました。大阪は珠洲とは違い人が溢れ夜でも街がにぎやかで、当時の僕にとって、都会の生活は、憧れであり、見るものすべてが新鮮で刺激的でした。

 

 27歳まで都会で過ごした僕ですが、結婚を機にこの地に帰ってきました。僕にとって、能登の海も山も豊な自然も、ごくごくあたりまえの風景で、その頃は特別感動することは特にありませんでした。

記憶に残るパン

 ただ、都会とちがい時間がゆっくりと流れ、人も風もなにもかもが、とにかく優しく、 僕の体の中に、すうーっと、何かはわからないけどしみ込んでくるような、そんな不思議な感じがしました。今まで眠っていたいろんな細胞のひとつ一つにスイッチが入ったような、そんな不思議な感じです。

 

 妻は金沢から嫁いだのですが、その妻(真美)が言うには「この地には、人間にとって大切な物がいっぱいあるね。」当時の僕には、それが一体、何なのか分かりませんでしたが、今頃になってその大切な物がわかったような気がします。

 

 都会にいた時はカレンダーの数字が季節を教えてくれました。でも今は違います。雄大な自然に囲まれ、五感を通して季節を感じる事ができるのです。

 

 これは僕達人間にとって、あたりまえのことであり、一番なくてはならない本能なのだと今になって気づいたのでした。

 

                 店主 古川一郎

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